身近なコラムと専門的なコラム。どちらを書く?

アクセスを増やす目的で、動物病院ホームページ上にコラム(ブログ)を書いたが良いですか?と相談を受けることがあります。

何もやらないよりかは「情報量を多くし、ユーザーの役に立つサイトにする」目的でコラムは書いた方が良いのですが、忙しい毎日の中の時間を使って書くわけですから、それなりに「効果(集客・採用)」を求めたくなるでしょう。

文頭の「ホームページ上にコラム(ブログ)を書いたが良いですか?」に対する私の答えは「コラムは書いた方が良い。内容は狙う対象による」です。

今回は身近なコラムと専門的なコラムの2種類を例にあげ、どのような効果を狙う場合にはどちらを選択すべきかについて話しします。

身近なコラム

身近なコラムとは、飼い主様が多く迷うことのあるライトな事柄に着目し書くものと定義します。

例えば

  • しつけの仕方
  • ペットフードの選び方
  • 室内飼いでの注意すべきこと
などです。

こういったライトな記事は探すとたくさん出てきますよね。

身近なコラムはライバルが多い

こういった記事は気軽に書くことができる反面、他の記事との差別化が難しく、実際にインターネット上にたくさんの類似記事が上がっているため競争は苛烈です。特に近年はコラムを大量に書くことでインターネット上のアクセス数増加を目的としたウェブメディアがたくさん存在しています。ウェブメディアは自社内に記事を大量生産する「記事作成部隊」を抱え、獣医師免許を持っている方に監修を依頼することで、質を一定程度担保した記事を生み出しています。

アクセス数に応じた広告表示(もしくはクリック)回数で収益を上げる目的であるため、幅広いジャンルで検索がひっかかるように記事が作成されています。

身近なコラムの役割は「問題解決」

身近なコラムが使われる場面は飼い主様の「知りたい」であり、「どの病院にいくかを決めたい」ではありません。

そもそも身近なコラムにアクセスした閲覧ユーザーはあなたの病院の近くにいるとは限りません(海外にいるケースも)。したがって、身近なコラムを書けば即来院数が増えるかと言うとそんなことは有りえません。

個人病院が来院に繋げる工夫

身近なコラムは集客に繋がらないと書きましたが、来院に繋げる方法も存在します。

動物病院ビジネスは、とりわけ一次病院は地域に根ざしたローカルビジネスです。その商圏に存在するライバル病院よりも魅力ある病院であることが伝われば来院に繋がりやすくなります。単にインターネット検索対策としてコラムを書くのではなく、新規ならびに既存の飼い主様との関係深化のきっかけ作りとして書くことで集客に活かすことができます。

ポイントは「この先生/病院に見てもらいたいと思ってもらう」ことです。

例えば、しつけの仕方に関する記事を作成する場合、一般的なしつけの仕方を書く他に自院だからこそ伝えられる『オリジナルな内容」を盛り込むことが重要です。

具体的にはこういったことが考えられます。

  • その病院だからこそ伝えられる、経験に基づいたしつけの仕方を伝える
  • 動画を活用し、優しくしつけをする様子を伝える
  • 動画を活用し、しつけ前後の変化を伝える
  • 外部のしつけパートナーと組み、専門的なしつけの仕方を指導できることを伝える

今や当たり障りのない記事はたくさん存在しているからこそ、それらとは一線を画す内容を盛り込むことが大事なのです。これらの考え方は、ランチェスターの法則の弱者の戦法である「局地戦を行う」ことと同義です。限られた範囲を深掘りすることで、その他ライバル記事を出し抜ける可能性が上がります。

ブログを続けて1年でアクセス数が3倍以上になった例も

私がお世話になっているある動物病院さんで、ブログ(コラムよりももっとフランクで、今日どういうことを行なった、休みの日にはスタッフはこう過ごしたという内容を記載)を週に2回、1年間続けられたところがあります。

書く内容は医療に関連しないものも多いのですが、1年後にはアクセス数(訪問者数)が3倍以上になりました。基本的にはブログページへのアクセス数が伸びていたのですが、ブログページをフックにして閲覧者はその他のページへ遷移し、結果的に本来伸ばしたいと思っていた専門診療ページへのアクセスが増えました。

病院スタッフで回しながら書いたため、負担は少なく運用でき、集客へ繋げることができた良い例でした。

専門的なコラム

技術で勝負している動物病院、特に二次診療施設の場合、専門的なコラムを作成することを検討することがあると思います。

例えば

  • 疾患に関する解説記事
  • 治療した実例紹介記事
などです。

専門的なコラムのメリット

これらは身近なコラムよりも検索される数自体は少ないのですが、下記のメリットがあります。

  • 病院の医療レベルの高さを伝えられる(採用面でもアピールになる)
  • 困っている飼い主さんが閲覧することが想定されるため、遠方にお住まいであっても来院に繋がりやすい (専門的なコラムにたどり着く飼い主様は「どこの病院で治療を受けさせようか考えている」状態の場合がある)

実際に具体的な疾患名をインターネット上で調べてみれば分かるのですが、身近なコラムと比べるとライバルとなる記事は比較にならないほど少ないです。 (最近、インターネット集客に力を入れている動物病院では飼い主様向けメディアを作るところもチラホラ出てきましたが、とても良い取り組みです)

今からでも専門的なコラム領域であれば、勝負できる場所がたくさんあります。

特定のキーワード狙いなら専門的コラムがおすすめ

疾患名などの特定のキーワードでの集客を狙い場合には、記事を徹底的に深堀りする専門的コラムがお勧めです。お勧めの方法は、疾患の解説記事と治療例を同じディレクトリにまとめ、狙いたいキーワードを強くすることです。 この方法は私自身多くの院長にお勧めしています。単価が高い疾患の場合だとコストを掛けてでも専門的な記事を作成するメリットはありますが、どのようにやったら良いかがわからない、実際に記事を作成する余裕がないところが大半です。

飼い主様目線を知る方法

飼い主様の目線は現場の獣医師・動物看護師・受付スタッフがわかっているはずですが、そのほかにもインターネット上でも確認することができます。例えば「骨折」という言葉にて専門的コラムを書こうと思った場合、「骨折 ◯◯」という形で、「◯◯」の部分に悩みに関する言葉が検索されます。その悩みキーワードに沿って記事を深堀りすると飼い主様が欲しい情報を提供できるようになります。

伝え方にもこだわろう

特に専門的な内容になればなるほど、わかりやすく伝える努力が必要です。そのためには、文章だけではなく、動画を入れて解説をしたり、イラストを入れたり、写真を入れたりすることが重要です。そうすることで閲覧ユーザーの理解度があがり、じっくりと見てくれることにつながります。

じっくりと見てくれることは、コラムの信頼性の高さに直結し、インターネット検索エンジンから高い評価を受けることに繋がります。

専門的コラム領域は未開の地

身近なコラムと異なり、専門的コラムはまだ未開の地です。ある二次診療施設(動物病院)のお客様がいるのですが、数年前より記事を書き溜め、今ではすっかりその領域では数多く上位にヒットするようになりました。

皆さんに知っていただきたいのは、病院として治療実績が豊富なところがインターネット検索で上位にくるのではなく、インターネット上での情報が豊富なところが上位にくると言う点です。検索エンジンはより正確で専門的なページをより多くの人に見せようとしますから、自分の伝えたいことを伝えるのではなく、求められている情報を的確に届けられることが重要なのです。

(この点は、これからインターネット集客に力を入れていきたい病院さんにこそ覚えておいていただきたいです)

まずは書くことを継続しよう

身近なコラムであれ、専門的なコラムであれ、私が必ずお伝えするのは「継続して書きましょう」ということです。初めからうまく記事が書けなくても、継続していれば書けるようになります。
記事がたまってきたらまとめ記事を作ったり、イラストを入れたりして、来院に繋げるための施策を考えやすくなります。

専門領域によって担当を分けたりすることで、負荷が特定のスタッフにかかりすぎないよう運用体制を整え、継続できる仕組みを作ることをお勧めします。

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